弔辞を頼まれたらどうすればいい?弔辞の書き方や話し方のポイントを解説
弔辞は亡くなった方の悲しみや悼む気持ちを代表して、故人へ贈るお別れの挨拶となります。
しかし、弔辞を頼まれたとき、どのように対応すべきか戸惑う方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、弔辞とは何か、その意味、適切な書き方や読み方、そしてマナーについて詳しく解説します。
故人への思いを込めた弔辞を準備することで、ご家族、参列者にとって心温まる葬儀となりますので、是非参考にしてください。
目次
弔辞とは
弔辞とは、故人への追悼の言葉を述べるもので、葬儀や告別式で読まれます。故人への感謝や思い出、敬意を表す内容が含まれることが一般的です。
弔辞は、故人との関係や遺族の意向を反映させることが重要であり、故人に対する最後のメッセージとして、その人生を振り返る機会でもあります。適切な弔辞は、故人を偲ぶうえで大切な役割を果たします。
弔辞をお願いされた場合
弔辞は故人と親しかった方に依頼されます。人前で話すことが苦手な方もいらっしゃると思いますが、ご家族が「あなたに話して欲しい」と依頼された場合はできる限り引き受けるようにしましょう。
弔辞の依頼を受けてから葬儀までの時間はあまりなく、慣れないことで焦ってしまうかと思いますが、あなた自身の言葉で心を込めて書き、あなたの言葉で故人への気持ちを伝えることが一番大切です。
弔辞を書く時のポイント
弔辞を書く際のポイントは、故人への敬意と感謝を適切に表現することです。個人的なエピソードを取り入れ、故人の人柄や生涯を反映させることが重要です。
感情を込めすぎず、かつ故人の良い面を強調するバランスが求められます。言葉選びに注意し、尊敬と謙虚さを持って書くことが大切です。
弔辞の長さ
弔辞の長さは、一般的には3分程度が望ましいです。文字数だと800〜1000文字前後となり、原稿用紙2〜3枚分程度となります。
長すぎると聴衆の注意を散らす可能性があります。短すぎると故人への敬意が足りないように感じられることもありますので、故人との関係や思い出を適切に表現しながら、簡潔にまとめましょう。
文章構成
弔辞の文章構成は、大きく分けて以下の4つに分けて構成します。
導入文 | 故人への哀悼の言葉 |
故人のエピソード | 故人の人柄や功績、思い出 |
現在の心境 | 今の心境と今後に向けた決意と故人への感謝を示す |
別れの言葉 | 故人の冥福を祈る言葉 |
導入文では、故人への呼びかけや哀悼の言葉を話します。
次に故人のエピソードとして、故人の人柄を紹介をし、ご家族、参列者の方々と思い出を共有して故人を偲びます。また、故人の生前の功績を讃えることで、尊敬の念を伝えます。
終盤は現実を受け止めた心境と今後の決意を述べ、故人への感謝の気持ちを表します。そして、最後に、別れの言葉として故人の冥福を祈る言葉を捧げます。
弔辞を書く際に注意すること
弔辞を書く際には、言葉選びに細心の注意が必要です。故人と遺族への敬意を示しつつ、不適切な言葉を避けることが重要です。
また、文脈や場の雰囲気に合わせて、適切なトーンを選ぶことも大切です。言葉の選び方一つで、弔辞の印象が大きく変わるため、慎重に文章を構成することが求められます。
忌み言葉を避ける
弔辞においては、不吉や悲しみを連想させる「忌み言葉」の使用は避けます。死や終わりを連想させる言葉や、故人の病気や死因を直接的に示唆する言葉が含まれます。遺族の感情を考慮し、忌み言葉には注意してください。
「四」「九」
「失う」
「離れる」
「断つ」
「消す」
「忙しい」
「終わる」
など
重ね言葉は使わない
弔辞において重ね言葉(同じ意味の言葉を繰り返す表現)の使用は避けます。ご遺族に対し、不幸が重なることを連想させてしまいます。
「重ね重ね」
「たびたび」
「またまた」
「ますます」
「かさねかさね」
「だんだん」
など
続き言葉は使わない
続き言葉は重ね言葉同様、ご遺族に対し不幸が続くことを連想させてしまいますので避けましょう。
「これからも」
「ずっと」
「いつまでも」
「さらに」
「また」
など
直接的な表現をしない
弔辞では、故人の死に関する直接的な言及を避けます。遺族や参列者の感情を考慮し、故人の死を連想させる具体的な表現や詳細は控えることが望ましいです。
故人の生涯や思い出に焦点を当て、故人の人生を称える表現を選ぶことが重要です。
「死ぬ」「急死」「病死」
「生きていた」
「生存」
など
宗教によって言葉を選ぶ
弔辞では、故人の宗教的背景に応じて言葉を選ぶことも必要です。以下、それぞれの宗教でタブーとされる表現となります。
無宗教の場合は、特定の宗教的表現を避け、一般的で中立的な言葉を使用します。
宗教の種類 | 避ける言葉 |
---|---|
仏教 | 「浮かばれない」「迷う」「天国」 |
神式・キリスト教 | 「供養」「冥福」「哀悼」「成仏」「往生」 |
浄土真宗 | 「霊前」「冥福」 |
弔辞の例文紹介
弔辞の書き方に慣れていない方のために、実際の例文を紹介します。
故人との関係性によって言葉を選び、適切なトーンで故人を偲ぶことが大切です。以下に、上司や同僚、友人など、それぞれの関係性に合わせた弔辞の例文を紹介します。
上司へ読む弔辞の例文
本日は、私たちの尊敬する上司である〇〇さんを偲ぶ場に立たせていただき、心より感謝申し上げます。〇〇さんは、私たちの職場における指導者であり、人生の大先輩でした。〇〇さんの深い知識と経験、そして温かい人柄は、私たち全員に大きな影響を与え、勇気と希望をもたらしました。
〇〇さんはいつも公私にわたり、私たちの成長を第一に考え、支えてくださいました。その献身的な姿勢と無限の優しさは、私たちが直面する数々の困難を乗り越える力となりました。〇〇さんから学んだことは数え切れないほどあり、その教えは私たちの心に永遠に残ります。
今日、ここに集まった私たちは、〇〇さんの教えを受け継ぎ、新たな一歩を踏み出します。〇〇さんの人生は、私たちにとって貴重な学びとなり、これからも私たちの道標となるでしょう。〇〇さんの魂が安らかに眠られることを心から願い、最後に感謝の言葉を捧げます。
「〇〇さん、これまで本当にありがとうございました。あなたのような上司に出会えたこと、そして共に仕事ができたことを、私は誇りに思います。あなたの教えと優しさは、これからも私たちの心の中で生き続けます。心からの哀悼の意を表します。」
同僚へ読む弔辞の例文
本日、私たちの大切な同僚である〇〇さんを偲び、心からの弔辞を捧げたいと思います。〇〇さんは、常に明るく、職場に活気をもたらす人でした。〇〇さんとの日々は、共に過ごした時間すべてが貴重な思い出となっています。
〇〇さんは、仕事に対する情熱と、同僚への思いやりに満ちた人でした。〇〇さんとの仕事はいつも刺激的で、私たちの能力を最大限に引き出してくれました。プロジェクトの成功はもちろん、失敗を経験した時も、〇〇さんはいつも私たちを支え、前向きな気持ちを忘れさせませんでした。
〇〇さんの笑顔や励ましの言葉は、今も私たちの心に深く刻まれています。〇〇さんの存在は、職場においても私たちの生活においても、かけがえのないものでした。今、ここに立ちながら、〇〇さんとの思い出を振り返ると、感謝の気持ちで胸がいっぱいになります。
「〇〇さん、共に働けた日々を心から感謝しています。あなたの温かい心遣い、力強い支援、そして共に作り上げた思い出は、私たちの中で永遠に生き続けるでしょう。あなたのご冥福を心よりお祈りします。」
友人へ読む弔辞の例文
今日は、私たちの親しい友人である〇〇さんを偲ぶ機会をいただき、心より感謝しています。〇〇さんと私は、長い間友人として多くの時間を共有しました。彼/彼女のユーモアのセンスと温かさは、私たちの友情を特別なものにしていました。
〇〇さんは、常に私たちの心を明るく照らす存在でした。一緒に過ごした時間、特に私たちが共有した笑いや、支え合った困難な時期は、私の心の中でいつも生き続けます。〇〇さんは、人生の喜びを教えてくれる素晴らしい友人でした。
「〇〇さん、共に過ごした日々は私の宝物です。あなたの友情に心から感謝しています。あなたの思い出は、私たちの心の中に永遠に残ります。安らかに眠ってください。」私たちの友人〇〇さんの思い出に、最大の敬意を表します。
生徒が学校の先生へ読む弔辞の例文
本日は、私たちの尊敬する先生、〇〇先生を偲ぶために集まりました。〇〇先生は、私たちの学校生活において、単なる教師を超えた存在でした。先生の授業はいつも生き生きとしており、私たち一人ひとりの心に深く響くものでした。
私たちが学んだ〇〇の授業では、先生はただ知識を教えるだけでなく、人生の大切な教訓も教えてくださいました。学校行事では、先生はいつも私たちの参加を励まし、支えてくれました。運動会の練習では、先生は私たちが挫けそうになるといつも励ましの言葉をかけてくれました。文化祭では、先生の創造的なアイデアが活躍し、私たちの作品をより素晴らしいものにしてくれました。
「〇〇先生、あなたから学んだことは私たちの心に残り、これからの人生の指針となります。先生の教えは私たちの中で生き続け、これからも私たちを導いてくれることでしょう。心から感謝申し上げます。」愛する〇〇先生へ、私たちの心からの哀悼の意を表します。先生との思い出は、私たちの心の中で永遠に輝き続けるでしょう。
弔辞を読む流れ
弔辞を読む流れは以下の通りとなります。
項目 |
---|
自分の名前が呼ばれたら、ご遺族に一礼をし、祭壇前まで進む。 |
故人に向かって一礼する。 |
弔辞を両手で広げ、心を込めて一語一句丁寧に読み上げる。 |
読み終えたら弔辞を元に包み直し、表書きを霊前に向けて祭壇に置く。 |
再度、故人に向かって一礼したあと、ご遺族に一礼して席に戻る。 |
弔辞のマナー
弔辞を読む際におけるマナーについて、それぞれ解説します。
弔辞の読み方
弔辞を読む際は、遺族や参列者の感情に配慮し、穏やかな表現を心掛けることが大切です。
落ち着いたトーン | 故人への敬意を込めて、落ち着いた声のトーンを保つ。 |
適切なスピード | 速すぎず遅すぎず、聞き手が理解しやすいスピードで読む。 |
明瞭な発音 | はっきりとした発音で、すべての参列者に聞き取りやすくする。 |
感情を込める | 故人への思いを感じられるよう、感情を込めて読む。 |
視線の配慮 | 遺族や参列者に配慮し、適宜視線を合わせる。 |
弔辞の折り方
弔辞を折りたたむ際には、紙の端をきれいに揃え、縦に2つまたは3つに折るのが一般的です。折りたたんだ弔辞は、読む際に容易に開けるようにしておくことが重要です。きちんと折りたたまれた弔辞は、格式ある葬儀の場にふさわしいマナーを示します。
弔辞は心を込めて感謝の気持ちを述べることが大切です
弔辞は、故人への敬意と感謝の気持ちを心を込めて伝える重要な瞬間です。適切な言葉選び、マナーを守りつつ、故人との思い出を大切に語ることが大切です。
故人の人生を讃え、その遺したものを称えることで、遺族への慰めともなります。故人への深い敬意を表すために、心からの感謝を込めて弔辞を捧げましょう。