天理教の葬儀とは?特徴や葬儀の流れ、マナーを解説します

宗教には様々な種類がありますが、天理教は1800年代にできた日本の宗教です。仏教と比べると信仰者の数が少ないことから、「葬儀の流れを知らない」「葬儀のマナーが分からない」という方も多いのではないでしょうか。

本記事では天理教の特徴や流れ、基本的なマナーを解説しています。ぜひ参考にお役立てください。

目次

天理教とは

天理教は、1838年に中山みきによって創設された日本発祥の宗教です。奈良県天理市に本部を構え、世界各国に信者を持つこの宗教は、「陽気ぐらし」を核とした教えを広めています。

天理教では、人間の体は神様からの借り物であり、互いに助け合い、仲良く生きることを最も大切な価値としています。また、全人類を兄弟と捉える教えは、信者たちの日常生活に深く根ざしており、宗教活動や社会貢献活動にも反映されています。

天理教での葬儀の特徴

天理教の葬儀は「みたまうつし」と呼ばれる儀式で、借りていた身体を神様のもとへと返すことを意味しています。天理教では死を「出直し」と表現し、この世での生を終えた魂が新たな体を得るための旅立ちと捉えます。

この考え方に基づき、葬儀では故人とのお別れだけでなく、魂の新たな旅立ちを祝福する意味合いも持ち合わせています。また、天理教独自の「玉串奉奠」や「陽気ぐらし」の精神を反映した温かな儀式が行われることも特徴です。

天理教の通夜の流れ(みたまうつし)

天理教における通夜は「みたまうつし」と呼ばれます。みたまとは魂のことを指し、魂を移す儀式を意味しています。「みたまうつし」の流れを詳しく解説します。

斎主・祭員の入場

斎主と葬儀の参列者が入場します。

祓詞奏上(はらえことばそうじょう)

祓詞奏上(はらえことばそうじょう)は、神事の儀式で最初に唱えられるお祓いの言葉となります。

最初に唱えられる詞(ことば)で、古来から伝わる祓詞を奏上することで、故人の魂が安らかに神様のもとへと旅立てるように祈ります。この祓詞には、生前の故人が抱えていた苦しみや悲しみを浄化し、新たな旅立ちを祝福する力があるとされています。

斎主遷霊祭詞奏上(せんれいさいしそうじょう)

斎主遷霊祭詞奏上は、「みたまうつし」と呼ばれ、故人の魂を肉体から神様のもとへと移す儀式です。

献饌(けんせん)

献饌(けんせん)は、神様に対して供物を捧げる儀式です。米、塩、水など、生命を育む食材が用いられることが多く、神様と故人の魂への供物として、斎場に設けられた祭壇に置かれます。

斎主の玉串奉献(たまぐしほうてん)

斎主の玉串奉献(たまぐしほうてん)とは、榊(さかき)の木の枝に紙垂れや麻が結びついている「玉串」を斎主が神様に供える儀式です。仏教における焼香を意味しています。

しずめの詞(ことば)奏上

「しずめの詞(ことば)奏上」は、天理教の葬儀における「みたまうつし」の儀式の終わりに捧げる詞となります。斎主が神聖な言葉を奏上し、故人の魂が神様のもとへと移り、新たな旅立ちを迎えることを祈ります。

斎主・斎員列拝

斎主・斎員列拝は、斎主と斎主の助手や世話役をつとめる斎員が揃って列拝をします。

遺族、親族の玉串奉献

喪主から血縁順で玉串奉献(たまぐしほうてん)を行います。やり方については後述で解説しています。

一般参列者の玉串奉献

続いて、一般参列者も同じように玉串奉献(たまぐしほうてん)を行います。遺族、親族のやり方を見ておくと分かりやすいです。

撤饌(てっせん)

撤饌(てっせん)は、献饌(けんせん)で祭壇にお供えしたものを下げる儀式です。

斎主・祭員の退場

斎主と葬儀の参列者が退場します。

玉串奉奠(たまぐしほうてん)の作法

天理教の葬儀で行われる、玉串奉奠(たまぐしほうてん)の正しい作法と手順を説明します。

玉串の受け取り: 斎主または祭員から玉串(榊の枝)を受け取ります。右手で茎の部分を、左手で葉の部分を支える形で持ちます。

祭壇への進み方: 静かに祭壇の前まで歩みます。

玉串の献じ方: 祭壇に向かって立ち、玉串を祭壇側に向けて軽く傾けます。その後、玉串を祭壇にそっと置きます。玉串の葉が祭壇に向くように調整しましょう。

拝礼の作法: 玉串を献じた後、一礼します。

退場: 拝礼を終えた後、静かに元の位置に戻ります。

天理教の葬儀の流れ

天理教の葬儀(告別式)は、発葬祭(はっそうさい)と呼ばれます。儀式は通夜とほぼ同じ流れで執り行われます。

天理教の葬儀後(霊前祭)

天理教における葬儀後の法事や法要は以下の通りです。

仏教の四十九日は、天理教の五十日祭にあたり盛大に執り行われます。

  • 十日祭(仏教における初七日法要)
  • 二十日祭
  • 三十日祭
  • 四十日祭
  • 五十日祭
  • 合祀祭
  • 一年祭
  • 五年祭
  • 十年祭

天理教の葬儀で注意すべきマナー

天理教の葬儀における注意すべきマナーをまとめています。

天理教の香典について

香典は宗教ごとに書き方や包み方などが異なりますので、間違わないようにしましょう。

天理教の香典の包み方

天理教は仏教ではありませんので、仏を意味する蓮の花の香典袋は使用しません。その他であれば、他の宗派と同じコンビニ等で売っているもので構いません。水引は白黒もしくは、黄白を選びます。香典を入れる際は新札は使わず、旧札を使うようにしてください。

天理教の香典の表書き

「御霊前」または「御玉串料」と記載します。故人との関係や、送り主の氏名は、封筒の裏面に清書します。

天理教の香典の相場

天理教における香典の相場は、一般的な仏式と同じです。ただし、故人との関係の深さや地域の慣習、送り主の経済的状況によって変わります。

故人と関係金額
近親者3万円から5万円
親族1万円から3万円
友人・知人5千円から1万円
職場の同僚・上司3千円から1万円

天理教の数珠の使い方

天理教における葬儀では、数珠を使用しません。

天理教の言葉選び

天理教の葬儀においては、言葉選びが非常に重要です。天理教独自の教義に基づき、死を「出直し」と捉えるため、一般的な葬儀で使われる言葉とは異なる表現を用います。

天理教のお悔やみの挨拶

天理教の葬儀は亡くなることを「出直し」という意味であるため、お悔やみの挨拶はしません。

以下は、天理教の葬儀で好まれる挨拶の例です。

「安らかなお眠りをお祈り申し上げます。」
「哀悼の意を表します。」

天理教の葬儀の意味と作法を知っておきましょう

天理教の葬儀は、亡くなった際に「借りた体を神様に返す」という独特の概念から、葬儀の意味合いに大きな違いがあります。

それぞれの宗教の意味を知り、適切な葬儀を執り行うことで故人への尊敬の意を示すことができます。

天理教の教えと作法に基づき、故人の魂の新たな旅立ちを祈りましょう。

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