家族葬とは?選ばれる理由やメリット・デメリットを解説
近年、テレビのCMやインターネットでよく耳にする家族葬。
家族葬は、家族や親族などで行う小さな葬儀のことで、時代の変化に合わせ一般的になりました。
しかし、なぜ家族葬が選ばれるようになったのか、本記事ではその背景と、家族葬のメリット・デメリットを解説します。
目次
葬儀の種類
葬儀は主に以下の5種類があり、それぞれ特徴があります。
故人の生前の周囲との関係や、ご遺族の経済状況などによって決めます。
- 家族葬
- 一般葬
- 直葬儀
- 一日葬
- 社葬
家族葬
親族や親しい友人など、親しい関係者のみで執り行う葬儀です。
一般葬と同じように、通夜・告別式、火葬等が執り行われます。
一般葬
親族以外に、近所の人や故人が生前付き合いのあった人、勤め先の会社関連の人などが出席する、出席範囲が広い伝統的な葬儀です。
通夜・告別式、火葬等が執り行われます。
直葬儀
通夜・告別式を行わず、親族や友人など親しい関係者のみが出席して火葬のみを行う葬儀です。
一日葬
親族や親しい友人など、親しい関係者のみが出席し、通夜は省略し、告別式と火葬のみを行う葬儀です。
社葬
企業に多大な功績を残した故人に対して、顕彰の意味を込めて企業が主体となって行う葬儀です。
社葬に先んじて、遺族・親族による密葬が行われることが一般的です。
葬儀の種類別の年間取り扱い件数
葬儀の種類別の年間取り扱い件数は以下の通りです。
家族葬が葬儀全体の28.4%を締めており、10家族のうち約3家族は家族葬を選んでいることになります。
葬儀の種類 | 取扱件数(件) | 割合 |
---|---|---|
家族葬 | 120,960 | 28.4% |
一般葬 | 268,473 | 63.0% |
直葬 | 23,450 | 5.5% |
一日葬 | 11,976 | 2.8% |
社葬 | 1,150 | 0.3% |
家族葬が選ばれる理由
家族葬が選ばれるようになったのは、以下の理由が考えられます。
- 時代の変化と価値観と多様性
- 故人の意向の尊重
- 感染症対策としての選択
時代の変化と価値観の多様性
最近は個人の意思や価値観を尊重する流れがあり、大規模な葬儀よりも、身内で家族葬を選ぶ人が増えています。
故人の意向の尊重
故人が生前、「家族だけで静かに」という意向があった場合、故人を尊重し家族葬を選ぶ家族も多くなっています。
感染症対策としての選択
コロナなどの感染症の流行を受け、大人数での集まりを避けるために家族葬を選ぶ家族も増えています。
少人数での葬儀は、参列者の感染リスクを避け、安心して葬儀を行えます。
家族葬のメリット
家族葬には、以下のメリットがあります。
- 親族や親しい友人だけで過ごせる
- 費用が抑えられる
- 落ち着いた雰囲気
親族や親しい友人だけで過ごせる
故人との最後の時間を親族や親しい友人だけで過ごせることです。大規模な葬儀は、故人との時間より参列者とのやり取りや対応に時間を取られます。
費用が抑えられる
家族葬は、大規模な葬儀に比べ、会場の規模や食事の人数などが少なくなるため、葬儀の費用を抑えられ、家族の経済的な負担を減らせます。
落ち着いた雰囲気
家族葬は、少人数なので落ち着いた雰囲気で故人との別れを告げることができ、心の整理ができます。
家族葬のデメリット
家族葬はメリットがある一方で、以下のデメリットもあります。
- 参列者の選択が難しい
- 家族葬の説明が難しい
- 親族の反対
参列者の選択が難しい
家族葬は規模が小さいため、広い範囲での人々を葬儀に招待できません。中には故人との縁が深い人が葬儀に参列できなかったというケースが考えられます。
葬儀後に「自分には案内状が来なかった…。」などのクレームがないように、故人との関係性をよく調べておくことが重要です。
家族葬での参列者選びについては以下のページで詳しく解説しています。
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家族葬の説明が難しい
家族葬に招待予定以外の人から、参列をしたいと言われる場合もあります。その場合に、断り方を間違うと故人・家族との関係性を壊してしまうリスクがあります。
「故人の生前の意向により」など、家族葬にした理由をきちんと説明をし、理解してもらうようにしましょう。
親族の反対
家族葬は呼ぶ範囲が限定的になり、故人が生前お世話になった全ての人に挨拶ができないことで、親族に反対される場合があります。親族の理解を得た上で、執り行うことが重要です。
家族葬の流れ
家族葬の基本的な流れについて解説します。
ご臨終・搬送・葬儀の準備
故人が亡くなった際には、まず葬儀社に連絡をします。葬儀社のスタッフが到着したら、故人の搬送や葬儀の準備についての打ち合わせを行いましょう。
通夜
通夜は、故人が亡くなった翌日に執り行われます。葬儀社スタッフの指示に従いながら、準備をし、執り行います。
告別式・火葬
告別式・火葬は通夜の翌日に執り行われ、故人との最後のお別れの時間となります。
告別式の後は火葬場へ移動し、火葬を行い、火葬後は、骨上げを行い、遺骨を納めます。
家族葬の費用
次に家族葬の一般的な相場や香典の額について解説します。
家族葬は、一般的な葬儀に比べて費用が抑えられるのが特徴です。
家族葬の一般的な相場
家族葬の費用は、葬儀の内容や参列者の数、地域によって違いますが、一般的には100万円前後と言われています。葬儀の基本的なサービスや故人の遺体の搬送、火葬場の使用料などが含まれます。
追加のオプションや特別な要望がある場合、費用が上がることも考えられますので、事前の打ち合わせが必要です。
家族葬の費用については以下のページで詳しく解説しています。
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家族葬の一般的な香典額相場
家族葬の香典の相場は、一般的な葬儀と同じもしくはやや少なめとなります。親しい家族や親族からの香典は、3万円から5万円程度です。一方、友人や知人からの香典は、3千円〜5千円程度が相場とされています。
ただし、地域や習慣によっても違うため、具体的な額を決める際には、葬儀社や地域の慣習を参考にすると良いでしょう。
故人との関係 | 金額 |
---|---|
親族 | 3〜5万円 |
友人・知人 | 3〜5千円 |
家族葬の香典については以下のページで詳しく解説しています。
家族葬の香典はいくら?一般的な相場とマナー・渡し方を解説
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家族葬で注意すること
家族葬を行う際には、参列者の選び方や葬儀社の選び方など、以下のトラブルに注意が必要です。
- 参列者とのトラブル
- 親族とのトラブル
- 葬儀会社とのトラブル
参列者とのトラブル
家族葬は少人数で行うため、参列者を選ぶ必要があります。「誰を招待するか、誰を招待しないか」の判断が難しく、感情的なトラブルが生じることがあります。家族とコミュニケーションを取って判断することが大切です。
親族とのトラブル
家族葬の際、親族間での意見の対立や不満が生じることがあります。たとえば、葬儀の内容や進行、費用の負担などに関する意見が分かれることが考えられます。
親族とのトラブルを避けるためには、事前の打ち合わせや意見交換を大切にし、全員が納得できる形で葬儀を進めることが重要です。
葬儀会社とのトラブル
葬儀社とのトラブルは、見積もりや費用、サービス内容などに関連して発生することが多いです。事前にしっかりと打ち合わせを行うことで、後からの追加料金やサービスの不備などのトラブルを防ぐことができます。
また、葬儀社の選び方や評判を事前に調査することも、トラブルを避けるためのポイントとなります。
葬儀社の選び方
葬儀は一生に一度の大切な儀式です。信頼のおける葬儀社を選ぶことで、心温まる葬儀を行うことができます。
葬儀会社を選ぶ際は、以下のポイントや注意点を押さえておきましょう。
- 実績のある葬儀社
- 見積額が分かりやすい
- スタッフの対応が良い
- アフターフォロー
実績のある葬儀社
葬儀社を選ぶ際の最も大切なポイントの一つが実績です。長い歴史や多くの葬儀を手掛けてきた会社は、経験とノウハウを持っています。
口コミや評判をチェックすることで、その会社の実績や信頼性を確認することができます。
見積り額が分かりやすい
葬儀の費用は安い金額ではありません。見積もりが明確で分かりやすい葬儀社を選ぶことが重要です。
葬儀後に追加請求などがないよう、隠れた費用がないか、詳細な内訳がしっかりと示されているかを確認しましょう。
スタッフの対応が良い
葬儀は感情的なものであり、スタッフの対応が良いかどうかは非常に重要です。故人や家族に対しての配慮や気配り、柔軟な対応が求められます。
事前にカウンセリングなどを行い、スタッフの対応を確認することがおすすめです。
アフターフォロー
葬儀が終わった後も、墓地の手配や供養の方法など、さまざまなサポートが必要です。
アフターフォローがしっかりとしている葬儀会社を選ぶことで、葬儀後も安心できます。
まとめ:家族葬は家族で過ごせる最後の大切な時間
家族葬は、故人との最後の時間を大切にしたい家族にとって、良い選択です。ただし、参列できる人に限りがあるため、デメリットもあります。
家族や親族の意向や状況をよく考え、コミュニケーションを取った上で、最適な葬儀を選びましょう。